廃村少女[弐]~陰り誘う秘姫の匣~
基本情報
ブランド | Escu:de |
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発売日 | 2025-07-25 |
公式サイト URL | https://www.escude.co.jp/product/haison2/top.html |
ブランドサイト URL | https://www.escude.co.jp/ |
管理人お気に入り度 | B+(好き。) |
管理人おすすめ度 | A+(ぜひともやってほしい。) |
管理人プレイ時間 | 38時間 |
こんな方におすすめ
- R-18 要素とシナリオが融合したエロゲがやりたい人
- 登場人物紹介を読んで一人でも気になるヒロインがいた人
- 後味よく抜きたい人
こんな方は要注意
- 陵辱シーン目的の人
- 手っ取り早く抜きたい人
感想
健気で可愛いヒロインたち。十分な回数と質のHシーン。丁寧に練られ、伏線もほぼすべて綺麗に回収されたプロット。分かりやすいテキスト。ルートごとに違った真実が見えてくる構成。驚くほど隙のない良作だ。R-18シーンが多めにも関わらず、シナリオ面でも最後まで飽きることなくプレイできた。人にはお勧めしたいが、個人の好みとしてはあと一歩、満足しきれないものがある。
前作は未プレイだが、今作単体で見たとき、「シナリオも面白い抜きゲー」としての完成度は高い。
謎解きパートでは各ヒロインの魅力を押し出して、さりげない伏線と露骨な“フリ”の両方を散りばめ、あれこれ予想しながら読み進める楽しさがある。 その中では、主人公たちの幼少期の思い出の回想も挟まれるのだが、これが毎回そこそこ長い。 だがその回想は、ヒロインの魅力の補強だけではなく、町を懐かしみ愛する主人公たちに感情移入しやすくする役割も担っており、結構重要。 もちろん、回想の中にも伏線がある。
R-18シーンでは、“ケガレ”による強制発情状態により互いを欲望のままに貪るようなシーンが見られる。 廃村となった故郷で、強制発情中の美少女たちとやりまくり……というと黒パケ感のある設定に聞こえるが、実際には和姦寄りのシーンがほとんど。 シーンによってはヒロインが躊躇いや抵抗を見せることもあるが、それも最初だけ。 ヒロイン複数人のシーンも多く、長さも十分であり、乱れる彼女たちを存分に堪能できる。 数は少ないが、恋人同士になってからの正気でのシーンも各ヒロインに準備されていた。
シナリオとは違う面だと、声も素晴らしい。眠そうなやちよ、泣きそうなすずなど、地の文で語られる前からキャラクターの感情が分かるのは良い演技である証拠だと思う。
また、細かい部分も手を抜かず作りこんであるのが好印象。
例えば、同じ場所で複数のキャラクターが集まって喋っている場面。 喋ってるキャラの立ち位置によって、背景画像のどの部分が画面に映るかまで切り替わる。 地味ではあるが、キャラの位置関係が自然にイメージできるよい演出だった。
ただ、一言感想で書いた通り、個人としての満足感はあと一歩といったところ。
これには登場人物とR-18シーンという、2つの要素に理由がある。 いずれも自分の好みの問題ではあるので、あまり気にならない、なんなら「だからいいんだよ」と思うプレイヤーも多いかもしれない。
まず第一に、登場人物の感情の起伏の「伏」が小さすぎること。 ネタバレは避けるが、舞台となる心珠町では過去にかなりえげつないことが行われている。 そのえげつない行為に登場人物たちが直接関わったわけではないものの、皆何らかの形で縁がある。 しかしこの作品の登場人物は皆とても聡明で良い子。 隠された真実を知ったり、恐ろしい出来事に巻き込まれかけたとき、戸惑いや落ち込みを見せることはあれども、大きく取り乱すことはない。 これについてはもう少し恐怖や嫌悪、憔悴したところを見せてくれたほうが、のちのカタルシスが増したのではないかと思うところもある。 彼女たちには、作中でそれだけ色々なことがありすぎたのだし。
第二に、R-18シーンにおいて、人を選びそうなプレイの扱いに中途半端さを感じたこと。 シナリオのネタバレではないので具体的なプレイ内容に触れるが、下記のようなシーンでそう感じた。
- 陽渚ルートで首を絞めながら挿入するシーンがあるが、手ではなく腕で首を圧迫するなど危険をある程度抑えたシーンになっていた。また、声があまり苦しそうでなかった。(陽渚役の佐倉もも花さんなら、やろうと思えばもっと苦しそうな演技ができたはず。なので、あえて過激さを抑えていると思われるが)
- 七々瀬ルートでイラマチオのシーンがあるが、”ケガレ”による影響があるにもかかわらず、こちらも手心を感じる描写に抑えられていた。確かに定義としては男側が動けばイラマチオなのだが、抜きゲーのイラマチオであればもっと過激で苦しそうなほうが好みである。
- 鈴エンド後のシーン中、主人公がすずに対し「おしっこ出そうか」と発言するシーンがある。が、おしっこは言及のみであり、実際に出すシーンは存在しない。言及があるとつい期待してしまうので、言及しないか、有言実行かのどちらかであってほしかった。(フォローしておくと、別のシーンでは出しているシーンもある)
不満点とは違うが、R-18シーンだけではなく、ホラー描写についても怖い雰囲気は出しつつ不快にならない範囲に押さえられていた。
ただ、これらのある種の“ぬるさ”は、プレイヤーが気持ちよく抜けるゲームを作ることを優先するためにあえてそうしているのではないかとも感じた。
不満点はこれまでに書いたような個人的な好みの範疇と言える部分ぐらいなので、登場人物紹介を見て、一人でも気になるヒロインがいるなら買いのゲームだろう。
以下、各ヒロインについてひとこと(ネタバレを含みます。ネタバレを閲覧する場合は文字を選択して色を反転させるなどしてください)。
月海(シンジュ):過去回想のシーンからして片鱗を見せていたけど、期待通り愛の重い子だった! 主人公に対してだけではなく、陽渚に対しても予想以上に重かったのはうれしい誤算。ずっとずっと寂しかっただろうしもっと寂しさとか負の感情爆発させてもいいのよ……とも思ったけど、そこは彼女の我慢強さか。
陽渚:正妻感がすごい。でも一番好きな陽渚は陽渚ルートではなくやちよルートの陽渚。やちよと主人公が結ばれたことを知って「ちょっと、寂しいけど」と控えめに漏らす姿が切ない。やちよたちをからかうすずと七々瀬に「……2人とも、もう楽しんでるよね」って、あたかも自分はまだ楽しめてないようなこと言うのも悲しくて可愛い。鈴ルートでは(強がりだろうけど)笑顔で「鈴ちゃんをよろしくね」と言ってのける陽渚が、やちよルートでは寂しそうな姿を見せるのも高ポイント。 あと、R-18シーンで他の女の子を責めてる陽渚がめっちゃやらしくて好き。
やちよ:R-18シーンでの雌豚感は清楚で冷静な普段の姿とのギャップを強く感じて大好き。バッドエンド?での乱れた姿はヒロインの中でもまた一段とエロい。陽渚とは反対(?)に、複数人プレイでは責められ側を担当しがちなのも可愛いポイント。
鈴:幼馴染ヒロインだけど、おそらく、主人公のことを好きだと自覚するのは自分のルートだけなんでしょうね。明言されてはいないけど、他のルートだと主人公への気持ちは幼い憧れの残滓のまま、恋愛感情にならずに終わっていたのではないかと思う。他人のことによく気がついて空気も読めるぶん、自分の感情には少し疎い子のかも。だからこそ、自分のルートでは急激に主人公への憧れを自覚し、その気持ちがあっという間に恋に変わったようにも見える。 また、今回の登場人物の中で一番普通の子ではあるものの、一番たくさんの人から可愛がられきた子でもある。それを生かした温かい結末を迎える彼女のルートは、真相に迫らないヒロインのルートとして一つの完成形を見たように思う。
七々瀬:派手めの外見からの才媛というギャップが好き。二人で交わした約束を二人で破ることで関係が進展するのも、このゲームの中では変化球で面白い。他のルートでも嫉妬心や切なさは一切表に出さず笑顔で祝福してくれる大人なキャラだけど、唯一「親しい人間をからかうくせ」は可愛い意味で子どもっぽさを感じる。そのくせはきっと、愛情に飢えた彼女なりの甘えや試し行動なのだろう。
ネタバレおわり。
投稿日: 2025-09-11